遅発性ジスキネジアの原因は?
なぜ遅発性ジスキネジアが起こるのですか?
遅発性ジスキネジアの原因について詳細は分かっておりませんが、以下のように考えられています。
脳の神経細胞には、ドパミン(下図の①)と呼ばれる細胞から細胞へ情報を伝える成分(
神経伝達
物質
)があります 1)。
抗精神病薬(②)は、ドパミンがドパミン受容体(③)にくっつくのをさまたげることによって、ドパミンの過剰なはたらきを抑え、精神症状を改善します。
しかし、ドパミン受容体が長い間さまたげられていると、細胞はドパミンをなんとか受け取ろうとしてドパミン受容体の数を増やします(④)。その結果、ドパミンによる刺激が過剰になり(⑤)、遅発性ジスキネジアが起こると考えられます 2)。
遅発性ジスキネジアが起こるしくみ(イメージ図)
一般的には、遅発性ジスキネジアの症状は、お薬を服用しはじめて3ヵ月以上過ぎてからあらわれるとされています。また、お薬を長く使用するほど起こりやすくなるといわれており、お薬を使い始めてから数年過ぎてから症状があらわれることもあります 1、2)。
遅発性ジスキネジアの原因となるお薬
遅発性ジスキネジアは、お薬を使用することで起こる症状です。抗精神病薬の多くが遅発性ジスキネジアの原因となります。抗精神病薬のほかにも、抗てんかん薬、抗うつ薬、⼀部の吐き気⽌め( 制吐剤 )などが原因となって、遅発性ジスキネジアが起こることもあります 2)。
【参考資料】
- スティーブン M. ストール. ストール精神薬理学エセンシャルズ 神経科学的基礎と応用 第4版. p150-151, p155, メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
- 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル(ジスキネジア)平成21年5月(令和4年2月改訂)