患者さんの声
受診、そして遅発性ジスキネジアの治療へ

遅発性ジスキネジアを発症された患者さんに、
家族や医師に症状を伝え、治療に結びついたときのことについて、お話をうかがいました。

監修 : 桶狭間病院 藤田こころケアセンター 病院長 藤田 潔先生

日常の中の困りごと、またそれをうまく伝える大変さ

原疾患:双極性障害1型

Aさん
(50代・女性)

この症状を、どのように表現したらよいかがわからなくて困っていた

舌が勝手に動いてしまう症状を、どのように表現したらよいかがわからなくて困っていたのですが、あるとき外来受診でアンケートがあって、そこに「口がもごもごする」という項目があり、「これだ」と思って医師に相談しました。

原疾患:統合失調症

Bさん
(50代・女性)

困っていることを主治医にうまく伝えられなかった

夫にはいつも、歩き方のことは相談していたのですが、心配だったので主治医にも相談しました。足の震えのためにすでにうまく歩けない状態だったのですが、自分の症状を正しく伝えるのにも苦労しました。

原疾患:統合失調症

Dさん
(50代・男性)

どうなってんだ僕の体は……と思った。
この症状をなくしてほしい、治してほしい

自分の体は自分の意志で動くでしょう。でも、自分が意識していないのに勝手に動きだすんだから、どうなってんだ僕の体は……と思ったよ。人前に出ることが制限されてしまうし、呼吸がうまくできなかったり、眠れないこともある。困ることしかないよ。こんな症状、見たことも聞いたこともなかった。この症状をなくしてほしい、治してほしいと思うね。診断で早く見つけられるようにしてほしいと思うよ。

どのようにして遅発性ジスキネジアの
治療に結びついたのでしょうか?

原疾患:うつ病

Cさん
(70代・女性)

医師からすすめられて

当初は治療については考えていませんでした。しかしその後、当時受診していた病院の医師から「口元が動いているから、そういう症状を改善する治療を受けた方がいい」と言われ、そこで初めて、口元の不自然な動きを治療しようと思いました。原因が気になっていましたが、やっぱりこれはもとの病気と関係していたんだなと納得しました。

原疾患:統合失調症

Dさん
(50代・男性)

症状がひどくなり、苦しくなって自分から医師に相談

口の中に、ピンポン玉くらいの空気のかたまりのようなものがある感じがするんだ。そのせいで、口が勝手に動いて声が出てしまうように思う。初めはたまになる程度で、こんなに症状が続いてひどくなるなんて思ってもなかった。つらかったから、自分から医師に相談したよ。

原疾患:統合失調症

Eさん
(50代・男性)

自分で調べて動画を発見

統合失調症の治療で飲んでいる薬の副作用をネットで調べていて、遅発性ジスキネジアの症状についての動画を見つけました。これだ、と思いました。まったくの偶然だったと思います。そのサイトをもっと早く医師に見せることができていれば、説明に苦労することもなかったのにと思いました。

解説

藤⽥潔先⽣の写真

スマートフォンの動画撮影なども活⽤してみましょう

藤⽥ 潔 先⽣

桶狭間病院 藤⽥こころケアセンター 病院⻑

不随意運動について、多くの患者さんが「最初はどのように伝えればよいかわからなかった」「⾃分の症状をうまく表現できなかった」と感じているようです。症状をうまく⾔葉にできない場合は、スマートフォンなどで動画を撮影し、診察時にそれを⾒せるのも⼀つの⽅法です。ご家族や周りの⽅々で、患者さんをサポートしていただければ幸いです。